昔から日本の家には仏壇があり、ご先祖さまや仏さまに祈りを捧げる風習がありました。しかし、現代では仏壇を置かない家も増えてきており、家自体が仏壇を配置するような造りになっていないケースがほとんどです。
今回の記事では、仏壇を置くスペースがない方向けに、仏壇を置かない選択をする方の背景やスペースが少ない住宅で仏壇を設置する方法、注意点などについてご紹介します。
仏壇を置かない理由
前述した通り、仏壇を置きたいが事情があって置けない、もしくは置かない選択をする家庭が増えています。また近年では、家に仏壇がない世帯が全体の6割を超えているのが実情です。仏壇を置かないさまざまな理由についてご紹介します。
仏壇を置くスペースを確保できない
近年では、ひとり親世帯や子どもが1~2人の世帯、夫婦だけの世帯など核家族のスタイルの世帯が増え、マンションやアパート暮らしの方が増えています。一軒家であれば仏壇を置くスペースを確保しやすいですが、マンションやアパートの場合は居住スペースとは別に仏壇のスペース確保が困難な場合が多いです。
特に、先祖代々受け継がれているような仏壇は大きいサイズのものが多いため、タンスなどの家具が一つ分置けるほどのスペースが必要です。昔の一軒家には、必ず仏壇を置くための仏間(和室)が設けられ、すっぽりと仏壇が収まるようなかたちで設置されていました。しかし、最近は和室がない家も増えているため、仏壇の置き場所に困っている現状があります。
生活スタイルに合わない
近年ではほとんどの家が洋式化しており、従来型の大きな仏壇はインテリアとアンマッチになる場合が多いです。仏壇は、彫り物や装飾の美しさから独特の雰囲気を持つため、部屋の印象に大きな影響を与えます。現代風の家やインテリアにこだわる方は、仏壇を避けてしまうこともあるでしょう。
引き継ぐことで起きるトラブルを避ける
仏壇というと、夫の家系の仏壇を子孫が代々引き継いでいくイメージがあると思います。ところが、何らかの事情で妻側の親族に先祖を祀る人がいなくなった場合、宗派の違う仏壇を引き受けなければいけない状況になることも。そのようなトラブルを避けるために、最初から仏壇を置かない選択をする方もいます。
宗教にこだわらない人が増えた
もともと日本人の7割近くが仏教徒であると言われており、昔は、家に仏壇がある家庭が普通でした。しかし近年では、代々家が仏教徒であっても自分は特定の宗教にこだわらないという方が増えています。このような宗教に対する価値観の変化から、仏壇を置かない選択をする方が増えていると考えられます。
管理する手間をなくしたい
仏壇には、細かな装飾が施されている仏具が置かれていたり、ご飯や果物などのお供物が置かれていたりするため、こまめな掃除が必須です。また、宗教や家庭ごとの決まりとして細かいしきたりがあるケースもあります。
さらに、仏壇は長い年月使用しているとどうしても劣化するため、その都度修繕や塗り直しが必要です。こういった仏壇の管理に不安がある方は、仏壇を置かない選択をするケースが多くなっています。
スペースが少ない住宅で仏壇を設置する方法

スペースが確保できない住宅であっても、工夫次第では仏壇を配置することが可能です。それには大きくわけて2つの方法があり、1つは置き場所を工夫する方法、もう1つは設置しやすい仏壇選ぶ方法です。ここではこの2つの方法について解説します。
置き場所を工夫する
前述した通り、本来仏壇は仏間に設置されるものですが、近年では仏間にこだわらない方が増えています。具体的には以下のスペースが挙げられます。
床の間
部屋の中でも上座に設けられている床の間は、客人を迎える空間として使われるほか、神聖な場所として家の繁栄を象徴する意味合いを持っています。そのため、床の間がある家の場合は、そこに仏壇を設置しても問題ありません。仏壇の雰囲気とも馴染みやすいでしょう。
フローリング
家族が集うリビングやダイニングなどのフローリングに設置すればお参りしやすいため、お供え物の交換や掃除などの管理もしやすいでしょう。もし「フローリングに直接置くのは気が引ける…」という方は、仏壇のサイズに合う小さな畳を床に敷き、その上に仏壇を置く方法もあります。
家具の上
テレビ台やタンス、食器棚、本棚の上などの家具の上に置く場合は、従来の大きな仏壇ではなく、近年人気の高いコンパクトな仏壇を選びましょう。床に置く場合とは違い、高さがあるのでお参りしやすく、座ったり立ったりする際の負担が減ります。
仏壇の種類を工夫する
近年では仏壇に関して多様な考えがあるため、仏壇自体もさまざまな種類のものが販売されています。以下で、スペースがない家でも設置しやすい仏壇をご紹介します。
コンパクト仏壇
コンパクト仏壇は、サイズダウンされた仏壇で、狭いスペースでも設置できるのが特長です。従来必要な仏壇の機能を維持しつつ、現代の住宅に合わせたサイズにつくられています。
コンパクト仏壇のほとんどは、幅が40cm以下、高さが60cm程度につくられているため、限られたスペースに設置することが可能です。また、奥行きも浅いものが多いため、廊下や階段下などのデッドスペースにも設置することができるでしょう。
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壁掛け仏壇
壁掛けタイプの仏壇は床スペースをとらないため、狭い部屋にも設置できるのがメリットです。また、おしゃれなデザインのものが多く、部屋の雰囲気にも合わせることができるでしょう。
モダン仏壇
モダン仏壇は、洋室やリビングなどに合うように現代風にデザインされた仏壇です。インテリア性を重視してつくられたモダン仏壇は「家具調仏壇」とも呼ばれ、一見、仏壇には見えないよう洗練されたデザインになっているのが特長です。
ミニ仏壇
ミニ仏壇は、仏壇の構造を簡略化した最小サイズの仏壇で「リビング壇」とも呼ばれています。構造がシンプルでお手入れが楽なミニ仏壇は、新しい仏壇のスタイルとして近年人気を集めています。棚の上やサイドボードの一角にも置くことが可能です。
最適な仏壇の設置場所と気を付けるポイント

マンションで仏壇を設置する際の最適な設置場所と気を付けるポイントについて解説します。
お参りしやすい場所に置く
仏間が設けられていない家の場合は、基本的には都合が良い場所に仏壇を設置するとよいでしょう。仏壇にお参りする頻度は、1日2回が理想的とされているため、家族がいつも集まるリビングやダイニングなどに置くのもおすすめです。
なお、仏壇の向きは、東向きや南向き、総本山のある方角など宗派によって考え方が異なりますが、現代ではあまり気にしなくても問題ありません。
高さに気をつける
理想的な仏壇の高さは、座って手を合わせたときにご本尊の位置が目線よりも少し上になる高さだと言われています。座ったときに自分の目線より下に仏壇があると、仏さまを見下すことになってしまうため避けた方がよいでしょう。仏壇を設置する際は、ご本尊の位置が自分の胸よりも少し高いところにくるよう場所や高さを調整する必要があります。
神棚とのバランスを考える
神棚が家にある場合は、仏壇と神棚が向い合わせにならないよう設置しなければいけません。向かい合わせに設置すると、仏壇に手を合わせている間、神棚に対して背を向けることになります。逆に、神棚に手を合わせている間、仏壇に背を向けることになるため、仏様や神様に大変失礼な配置となるため注意が必要です。
直射日光を避ける
仏壇は直射日光が当たると劣化が早まるため、直接日光が当たる場所に設置するのは避けましょう。また、冷暖房の風が直接仏壇に当たる場所も仏壇を傷める原因になるため、注意が必要です。仏壇はなるべく風通しがよく、湿気がこもらない場所に設置しましょう。
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