冬の北海道は寒さと乾燥が厳しく、暖房による温度差も大きいため、仏花や供物が普段より早く傷んでしまうことがあります。毎年この時期になると、「どんな花なら長持ちするのか」「冬に向くお供え物は何か」と悩まれる方が少なくありません。
そこで本コラムでは、冬でも安心して飾れる仏花や、扱いやすい供物、新年らしい花材の組み合わせをご紹介します。日々のご供養が少しでも心穏やかに続けられるよう、お役立てください。
目次
冬〜新年に適した仏花の選び方
冬の時期は乾燥や寒さに加えて、暖房の風の影響で仏花がしおれたり花びらが縮んだりしやすい季節です。また、松の内（1月7日頃）までは落ち着いた仏花を選ぶご家庭も多く、鏡餅をお供えする家庭もあります。ただし華美になりすぎると仏壇本来の落ち着きが薄れるため、「清らかで簡素」を意識した花選びが向いています。
冬に長持ちする花材
● 菊（輪菊・小菊）
寒さや乾燥に強く、冬でも安定して飾れる代表的な仏花です。
● スプレーマム
花持ちが良く、冬でも型崩れしにくい丈夫な花材です。
● ストック
優しい香りがあり、冬の仏花として使いやすい一本ものです。
冬に向かない花材
● バラ
乾燥で花びらが痛みやすく、暖房の風で傷みが早まるため冬場の仏花としては長持ちしにくい傾向があります。故人が好きだった場合や命日・誕生日などでは、白や淡いピンクのバラを少量飾るご家庭も増加傾向にありますが、飾る際はとげを取り、香りの強すぎない品種を選ぶことで、仏壇にも自然に調和します。
● ユリ
香りが強くなりやすく、冬の暖房環境では特に注意が必要です。
● 水分の多い柔らかい花（トルコキキョウなど）
温度差の影響を受けやすく、花びらが傷みやすい花材です。
新年おすすめ仏花セット
新年は“清らかさ”と“控えめな華やかさ”が両立する、以下の花材がふさわしいでしょう。
・白菊（輪菊：3本）
・黄菊（2本）
・スプレーマム（白またはグリーン：1〜2本）
・カーネーション（赤：2本）
・ストック（白：1本）
・松（若松：1本）
・金柳（1本）
白菊が中心にあることで仏花らしい清らかさが生まれ、赤いカーネーションを控えめに添えることで、新年の温かみが穏やかに加わります。松と金柳は存在感があるため、1本ずつ加える程度が最も調和がとれます。
冬の供物（お供え物）の選び方
冬は低温や乾燥、暖房による温度差の影響で、食品が固くなったり凍ったりと、品質が変化しやすい季節です。そのため、乾燥に強く扱いやすいお菓子や日持ちのする供物が向いています。
冬に扱いやすい供物
● 落雁・打菓子
乾燥に強く、形が崩れにくい定番のお供え物です。
● 煎餅・あられ
湿気や乾燥に比較的強く、冬でも安心して飾れるお菓子です。
● 羊羹・カステラなどの日持ち菓子
冬でも品質が安定しており、お供えとして使いやすい菓子です。
新年おすすめ銘菓セット
冬場でも品質を保ちやすい銘菓は、新年のお供えに適しており、少し特別感がありながら、冬でも扱いやすい銘菓が人気です。
■ おすすめの銘菓
五勝手屋羊羹
千秋庵「山親爺」
柳月「三方六（ミニ）」
六花亭マルセイビスケット
三星の焼き菓子小包
冬に避けたい供物
冬場は果物の中でも特に、リンゴはエチレンガスによって他の供物を劣化させるため注意が必要です。また、みかんやいちごなどの水分量が多い果物は、暖房の温度差で皮が傷んだり水分が抜けやすく、お仏壇のお供えには不向きです。
冬の供花・供物を長持ちさせるポイント
厳しい寒暖差や乾燥に配慮した置き方を選ぶことで、供花や供物の持ちは大きく変わる
・暖房の風が直接当たらない場所に仏壇を置く
・花瓶の水をこまめに交換する
・供物は温度差の少ない場所に置く
・玄関付近など寒暖差が激しい場所は避ける
まとめ
冬から新年へ向かうこの時期は、北海道ならではの乾燥や寒さが続き、仏花や供物が普段より傷みやすくなる時期です。花がしおれやすい、供物が固くなりやすいといった “冬特有の悩み” を感じるご家庭も多いかもしれません。
こうした季節には、寒さに強い花材や日持ちのする供物を選ぶことが、ご供養を穏やかに続けるための助けになります。季節に合わせた花やお菓子を選ぶことで、お仏壇まわりを無理なく清らかに整えることができます。
ご供養は決まった形にとらわれるものではなく、ご先祖さまを想う気持ちを今の暮らしに合わせて穏やかに形にしていく時間です。季節に応じて小さな工夫を取り入れることで、日々の気持ちが整い、ご家族にとって安心と温かさが生まれていきます。
冬は環境の影響を受けやすい季節ですが、無理のない範囲で花や供物を選び、ご自身のペースで向き合うことが大切です。新しい一年に向けて、お仏壇まわりが静かに整い、心落ち着くひとときを過ごせますよう願っております。
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