1《お盆とは?》
Q,なぜお盆をするの?
A,お盆はご先祖様の霊を迎えるために行う行事です。お盆を行う意味の一つは「亡くなった方の霊をお祀りすること」にあり、ご先祖様との命のつながりを確認する日となります。
仏教ではお盆のことを「盂蘭盆会」と言い、『盂蘭盆経』というお経がお盆行事の元となっていますがそこに書かれていることは、亡くなった親を供養すると同時に、僧侶を供養することです。『盂蘭盆経』では7月15日を亡くなった親への供養をする日と説いています。つまり、現在の7月15日8月15日のお盆の日取りは『盂蘭盆経』によるところが大きいということになります。
日本でお盆の行事が初めて行われたのは606年と言いますから、聖徳太子の時代にはすでにお盆行事があったことになります。
また、日本には元来祖霊信仰があり、お盆とお正月の時期はご先祖様の魂が帰ってくる日とされていましたので、仏教が伝来する以前からご先祖様を迎える行事はあったようです。
Q,お盆はいつするの?
A,お盆は8月15日、7月15日の日が中心となり、13日に行う迎え火(この日を盆の入りと呼びます)で始まり、16日に行う送り火で終わるというのが一般的です。8月15日のお盆は「月遅れの盆」とも呼ばれます。この他、旧暦カレンダーによるお盆を行う地域もあります。北海道はほとんどが8月の「月遅れ盆」の地域が多いですが、函館・釧路・根室・日高方面では7月に行う地域もあります。
また、お盆に先立つ8月1日(7月1日)は「地獄の釜蓋が開く日」と言われており、この日を似てお盆の始まりとする考え方もあります。
7月7日は七夕の日ですがこの日をお盆の初めの日とする考え方もあり七日盆「なのかぼん」と呼ぶ地域もあり、この日に仏具磨をすることから「磨き盆」と呼ぶこともあります。盆棚作りもこの日にすると良いとする地域もあります。
七日盆を過ぎると13日の迎え盆、15日のお盆、そして16日の送り盆と続きます。
2《盆棚・精霊棚(仏壇)のお供え物》
Q,盆棚・精霊棚(仏壇)へのお供え物はなにを用意したら良いの?
A,盆棚へのお供え物は地域によって異なりますが、大まかに言って次のようなものがあります。
- ・お盆提灯(ご先祖様がお家に帰ってくる目印になります。欠かすことは出来ません)
- ・稲・アワ・キビ・トウモロコシ等の穂(吊るす)
- ・ほおづき・ハマナスなどの赤い実
- ・素麺やうどんなどの麺類
- ・水の子(お皿に水を入れて蓮の葉をしいて、キュウリやナスをさいの目にしたものをのせる【無縁仏の供養】)
- ・お団子
- ・仏花
- ・お菓子、果物
- ・御霊供膳(仏膳)
*北海道では盆棚や精霊棚を設ける風習は少ないですが、お仏壇が手狭な時はお仏壇の前にお供え机や小さなテーブルを用意して各種供物をお供えすることが多いです。
Q,盆飾りの牛と馬の意味は?
A,ご先祖様がお家に帰ってくるときには、馬(キュウリ)に乗って早く帰ってきてほしいという気持を表し、お盆が終わりあの世に帰るときには牛(ナス)に乗ってゆっくり帰ってほしい<名残惜しい>気持が表現されています。もう一つには、かつて牛や馬は農耕生活の中で欠かせない動物でした。ナスはその形から牛となり、キュウリはその形から馬と連想されてきました。盆棚に飾る牛や馬はそうした生活を反映したものです。お盆の時には牛や馬を休ませ丈夫であるようにと祈ったとも言われています。
キュウリやナスで馬や牛を作り盆棚に飾る習慣は江戸時代にはすでに見ることができます。俳人として有名な小林一茶の句には「すね茄子、馬訳を相勤けり」「瓜の馬御仏並びにおがまるゝ」(1823年)というものがあります。
Q,ほおづきを飾るのはなぜ?
A,盆棚や御仏壇の前にほおづきを下げる地域があります。ほおづきは「鬼灯」とも書かれ、仏様がお家に帰ってくる時の目印となるとも言われています。
東京・浅草寺では7月9日・10日の両日行われる「ほおづき市」が有名です。
3《迎え火と送り火》
Q,迎え火と送り火の意味は?
A,ご先祖様をお迎えするのが迎え火、送るのが送り火です。
迎え火は先祖が帰って来る時の目印になり、送り火は私達がしっかりとご先祖様を見送っているという証になります。
迎え火は玄関口で行う場合もあれば、お墓で行う地域もあるなど、その形態は様々です。お墓で迎え火用の提灯にロウソクの火を灯し家までご先祖様を導く地域もあります。
素焼きのお皿(焙烙)の上で苧殻(麻の皮を剥いだ後に残る芯の部分)を燃やす習慣は、今から200年以上前の江戸の町でも盛んに行われていました。
Q,迎え火と送り火はいつ、どこで行うの?
A,迎え火は8月13日(7月13日)、送り火は8月16日(7月16日)に行うのが一般的ですが地域によっては異なります。
迎え火、送り火をどこで行うかは、地域の習慣、さらに住居形態などによって異なります。江戸時代の江戸の町の場合には戸口で行うことが一般的で、素焼きのお皿で苧殻を焼き、迎え火・送り火としていました。また、お墓で迎え火・送り火を行う地域などもあります。時間的には夕刻にかけて行うのが基本です。ただ、現在は、住宅事情や安全面からもなかなか行いにくいのも現実です。
Q,どうして苧殻を燃やすの?
A,苧殻は麻の皮を剥いだ後に残る芯の部分のことを言いますが、麻は古来より清浄な植物として考えられてきました。清浄な植物なので、悪い物を寄せ付けないと考えられていたのです。また、燃やすということも清浄な空間を作り出す行いです。
お盆は祖先の霊ばかりではなく、諸霊を慰めるものですが、悪さをする霊を家に迎えないという意味も苧殻の迎え火には込められています。
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