北海道にお住まいの方々にとって、大規模災害への備えは、生活に深く根ざしたテーマです。2018年の北海道胆振東部地震や、毎年の記録的な豪雪を経験する私たちにとって、「お墓」の防災対策は、もはや他人事ではありません。
お墓の安心とは、単に墓石が倒れないということだけでなく、災害によってお墓参りが困難になった時、あるいは万が一、お墓が損壊した時に、ご遺骨や故人に関する情報を守り、次世代への供養を途絶えさせないための備えを意味します。
このコラムでは、北海道の厳しい気候と災害リスクに特化し、「物理的な安心」と「情報的な安心」の両面から、北海道にお住まいの皆様が今すぐ始めるべき「防災供養」のロードマップをご紹介します。
目次
墓石のプロが教える:寒冷地での「物理的な耐震・雪害対策」

北海道のお墓は、本州とは比べ物にならない厳しい自然環境に耐えなければなりません。墓石の倒壊や損壊を防ぐために、物理的な対策をしっかりと講じましょう。
地震対策の最新技術:寒冷地仕様の基礎と構造
地震から墓石を守るためには、基礎と構造が鍵となります。特に寒冷地では、地盤の凍結・融解を繰り返す凍上現象により基礎が歪みやすいため、より強固な対策が必要です。
- 基礎工事: 一般的な基礎に加え、地中深く杭を打ち込むなどの寒冷地特有の基礎工事が行われているかを確認しましょう。
- 免震・耐震構造: 墓石の接合部に、地震の揺れを吸収する免震ゴムや、石と石を強固に繋ぎ留めるL字金具、特殊な接着剤(耐震ボンド)などが使用されているか、石材店に確認することが重要です。
既に設置されているお墓についても、プロの石材店に依頼し、補強工事(金具の追加など)を行うことで、大幅に安全性を高めることができます。
冬場の積雪と凍結対策:雪の重みと水の力
北海道では、地震だけでなく、豪雪や凍結も墓石損壊の大きな原因となります。
- 積雪による負担: 積雪がお墓全体にかける重みは想像以上です。特に、墓石の上に笠があるデザインは、雪が溜まりやすく、構造に大きな負担をかけます。
凍結とひび割れ: 墓石の小さな隙間に水が入り込み、それが凍結して膨張することで、石にひびが入ったり、接合部が剥がれたりする「凍害」が発生します。
冬期に入る前に、お墓周りの水抜きを徹底し、石材に撥水加工などを施すことも、お墓を長持ちさせるための有効なメンテナンスです。
災害時にも安心を:お墓に関する「情報と手続き」のデジタル整理術

大規模災害が発生した場合、お墓の損壊だけでなく、お骨や関連情報が失われるリスクもあります。お墓の「情報」を整理し、デジタル化しておくことが、次世代の負担を減らす最も効果的な防災供養です。
「お骨」を守る備え:重要書類のデジタル化
災害で万が一お墓が被災し、お骨を別の場所へ移す(改葬)必要が出た場合、手続きには多くの書類が必要です。
- 必須書類の確認: 「改葬許可証」「永代使用承諾書」「霊園の契約書」などは、お骨の所有権や移動の証明となる最も重要な書類です。
- デジタルコピーの作成: これらの書類は、スキャンしてクラウド(Google Drive, Dropboxなど)に保管しておきましょう。これにより、自宅の書類が被災しても、スマートフォンやパソコンから情報をすぐに取り出すことができます。50代・60代の方こそ、子世代(30代・40代)と一緒にデジタル整理を進めてください。
納骨堂の防災性:天候に左右されない安心感
函館、室蘭、苫小牧などで普及が進む屋内納骨堂は、地震や雪害に対する防災性に優れています。
- 構造的な安全性: 鉄筋コンクリート造の施設が多いため、外部からの衝撃や積雪による影響を受けにくく、ご遺骨を安全に守ります。
- 天候への強さ: 豪雪や暴風の中でも、いつでも快適にお参りが可能です。これは、お参りに行けないことへの「心の負担」を取り除く防災対策とも言えます。
地域で築く「安心」の輪:寺院・霊園との防災連携
お墓の安心は、石材の強度だけでは完結しません。災害時に地域と連携するための準備も大切です。
災害時の寺院・霊園の役割
大規模災害が発生した際、地域の寺院や霊園は、広大な敷地や頑丈な建物から、地域住民の避難場所や救援物資の集積所となることがあります。
- 連絡ルートの確認: 普段から檀家総代や霊園の管理事務所と連絡を取り合い、災害時の情報発信ルート(安否確認、お墓の被害状況報告)を確認しておくことが重要です。
災害後の「心のケア」と再建費用への備え
お墓が被災した場合、その修復費用は高額になることがあります。
- 墓石保険の検討: 火災保険のように、地震や自然災害による墓石の損壊をカバーする「お墓専用の保険」や共済制度を提供している霊園や石材店もあります。一度、ご自身のお墓がどのような補償の対象となるかを確認してみましょう。
家族への究極の愛情:未来に託す「安心の設計図」

お墓の防災対策は、故人を守る行為であると同時に、次世代の家族が混乱や負担を強いられないようにするための「究極の生前贈与」です。
お墓の強度は、墓石の物理的な強度だけでなく、情報が整理されているか、家族間の話し合いが行われているかといった「備えの強度」によって決まります。
道南の厳しい自然の中で、心から安心して手を合わせるために、ぜひこのコラムをきっかけにご家族と「防災供養」について話し合ってみてください。地域に詳しい石材店や霊園に相談すると、北海道の環境に最適なアドバイスが得られるはずです。







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