神棚の祀り方について | 室蘭、苫小牧、函館の仏壇・仏具なら大師堂仏壇店

神棚の歴史は古く、最古の記述は『古事記』に見られます。その後、江戸時代になると伊勢神宮へのお参りなどが広まっていき、一般家庭へも神棚が普及しました。
ところが、現代では神棚を設ける家庭が少なくなっており、設置方法や飾り方、お供えについてわからない方も増えています。
そこで今回の記事では、神棚の祀り方をはじめ神具やお供え物についてご紹介します。

神棚を祀る理由

神棚を祀る目的は、毎日神様に礼拝するためです。本来であれば、毎日神社に出向きお参りするのが望ましいのですが、現代では現実的ではありません。そこで、家や会社でも神様にお参りができるよう神棚を祀るようになりました。

神棚には神社から授与されたお神札を祀りますが、そのお神札は神の御魂が寄るように神職によって祈りが込められているため、神様が依り憑く「依代（よりしろ）」とされています。そのため、神様の御魂が宿ったお神札は災厄を除ける道具と考えられ、家や会社を祓い清めるものといわれています。

神棚を祀る場所

神様に心地よくお過ごしいただくためにも、神様を祀る場所は失礼のない場所に設置することが大切です。具体的には、以下の六つの条件を満たしている場所がおすすめです。

・日当たりがよく明るくて清潔な場所
・毎日のお参りがしやすい場所
・自分の目線より高い場所
・神棚が落ちないよう安全に設置できる場所
・家族もしくは社員が集う場所
・毎日のお供えがしやすい場所

神棚は、神様に上から見守っていただくため、目線より高い場所にお祀りします。マンションの下階に住んでいる場合や戸建ての1階にお祀りしたい場合は、上階にいる人よりも低い場所に神様をお招きすることになってしまいます。

その場合は、神棚の上部に「雲」を設置しましょう。「雲」は、雲板のついた神棚板や木をくり抜いてつくった雲の文字を使うほか、紙に「雲」と書いたものでもかまいません。

神棚を祀るのに適していない場所

神棚の設置に適していない場所は、以下の通りです。

・湿気が多く、暗い場所
・トイレの隣となる場所や背中合わせの場所
・仏壇と向かい合わせになる場所や上下になる場所
・人が神棚の下を通る場所

避けなくてはいけない場所はさまざまありますが、神棚は毎日お参りすることが大切であるため、必ずしもこれらを完全に避けなければならないわけではありません。家や会社の間取りや事情に合わせてお祀りしましょう。

とはいえ、天然木の神棚は湿気が苦手で、変形してしまう場合もあるため、水回りに設置するのは避けた方が無難です。また、神様に静かに過ごしていただくためにも、騒がしい場所や人の往来が多い玄関等も避けてください。

くわえて、仏壇を置いているご家庭の場合は配慮が必要です。向かい合わせの位置に配置した場合、仏壇や神棚に拝礼する際、一方にお尻を向けてしまうため失礼になります。また、部屋の位置関係で神棚と仏壇が上下になるような設置は避けましょう。

神棚を祀る方角

神棚は、東向きもしくは南向きに祀りましょう。つまり、東向きならば西側の壁に設置し、南向きならば北側の壁に設置します。

日本では、水田稲作が広まる以前から太陽を崇めてきました。太陽が昇る東は活力や成長、南は充実や繁栄を象徴する方角といわれています。

お神札の納め方

ここでは、お神札の種類についてご紹介します。

お神札の種類〈天照皇大神宮のお神札、氏神神社のお神札、崇敬神社のお神札〉

お神札は、以下の3種類にわかれています。

・天照皇大神宮のお神札
・氏神神社のお神札
・崇敬神社のお神札

次に、それぞれのお神札について説明します。神様には位があるため、お神札を納める順番は守るように気を付けましょう。

天照皇大神宮のお神札

「皇大神宮」とは伊勢神宮の内宮のことで、ここでは天照大御神を祀っているため別格の存在として崇められています。天照大御神は、皇室のご先祖につながる神様であるため「皇祖神」と呼ばれています。

氏神神社のお神札

氏神神社は、日本の各地域で祀られている神社で「氏神様」と呼ばれています。氏神様とは、その土地で暮らす人々を守る神様のことです。

崇敬神社のお神札

崇敬神社とは、個人的な信仰等により崇められる神社のことです。氏神神社以外でお祀りしたい神社がある場合はその神社のお神札を神棚に祀ります。

神棚の違いによるお神札の納め方

神棚の扉の数には違いがあります。扉の数によって「一社宮（いっしゃみや）」もしくは「三社宮（さんしゃみや）」に分類され、お神札の納め方も違ってきます。

一社宮への納め方

一社宮の神棚に複数のお神札を納める場合は、天照皇大神宮のお神札を先頭にして、その後ろに氏神神社のお神札、その後ろに崇敬神社のお神札を重ねましょう。

三社宮への納め方

三社宮の神棚の場合は、位の高い順にお神札を中央に、向かって右側に氏神神社のお神札、向かって左側に崇敬神社のお神札を納めます。

神棚にお供えする物【神饌（しんせん）】

神棚へは、お水、お米、お塩、お神酒（おみき）の4種類をお供えします。それぞれ以下の神具に収めてお供えします。

・お水：水は生命にとって重要なもので、稲作にも欠かせません。毎朝新しいきれいなお水をお供えしましょう。
・お米：神話には「天照大御神が天上界で育てた稲穂が、地上界に伝わって稲作になった」と記されています。それほどお米は日本人にとって重要なものです。
・お塩：古事記では、神様が穢れた体を清めるのに用いたと記されており、古くから塩は清浄なものとして扱われています。
・お神酒：お米から醸造されるお酒は、古来より神様へのお供え物として納められてきました。

神饌の並べ方

神饌は、三方（さんぼう）や長膳（ながぜん）と呼ばれる台に載せるのが一般的です。

正方形の三方の場合

三方の中央にお米、その後ろにお神酒、手前の右側にお塩、左側にお水をお供えしてください。果物や菓子類をお供えする場合、別の三方を用意して隣にお供えします。

長方形の長膳の場合

神棚の真正面が上位となるため、お米は中央手前にお供えするのが正解です。お米の両側にお神酒、お米の右側にお塩、左側にお水を配置し、果物や菓子類をお供えしたい場合は、別の三方や長膳を用意して隣へお供えします。なお、三方や長膳は神様の御膳なので、継ぎ目は手前に向けましょう。

お供え物を取り替える頻度

お水、お米、お塩、お神酒は、朝にお供えして夕方頃に下げるため毎日取り替えます。ただし、それが難しい場合は無理のないペースでも問題ありません。なお、神饌は、「神具」と呼ばれる専用の器を使ってお供えします。

神棚にお飾りする物【神具（しんぐ）】

神棚にはさまざまな神具が存在します。ここでは基本的な神具や、より丁寧にお祀りするための神具についてご説明します。

・水玉（みずたま）
水玉は、お水を入れてお供えするための神具です。毎朝、新しいお水を入れて、神棚に向かって左側に配置します。なお、神様に召し上がっていただくため、お供えする際は蓋を取っておきましょう。
・皿（さら）
皿には、お米やお塩を入れます。お米は、洗米をお供えし、お塩は海水からつくられた天然塩をお供えしましょう。神棚に向かって中心にお米、右側にお塩を配置します。
・瓶子（へいじ）
瓶子は、お神酒を入れるための神具で、対になるようお供えします。こちらも水玉同様、お供え時には蓋を取っておきましょう。
・榊（さかき）
榊は冬でも枯れず、青々とした葉が生い茂る常緑樹です。日本では古来よりご神前に供えられたりお祓いに用いられたり、榊に寄せる特別な信仰が存在します。もしも榊が手に入らない場合は、同じツバキ科のヒサカキなどで代用しても問題ありません。
・榊立て（さかきたて）
榊立てには榊（さかき）を入れます。神事に欠かせない榊は常にきれいな状態を保つため、毎朝水を交換しましょう。榊は、神棚の左右に対で配置します。
・玉垣（たまがき）
榊立てを入れる神具です。榊立ての転倒を防止し、神棚板が汚れるのを防ぎます。
・神鏡（しんきょう）
神鏡は御霊代（みたましろ、神霊の依代）として祀る鏡で、神様の力が宿ると言われています。神鏡は中央の扉の前に配置します。
・金幣（きんぺい）
金幣は、御幣の紙である紙垂を金属状にした神具で、扉と神鏡の間に配置します。
・雲板（くもいた）
雲板とは雲形の板のことで、神棚の上の天井に貼るものです。雲板は天界を表わし、「神棚の上には何もありません」という意味を持っています。
・灯籠（とうろう）
灯篭は神前を照らすための神具です。神棚の左右に対で配置します。
・真榊（まさかき）
榊の枝に五色布をつけ、三種の神器を掛けた神具です。境界を表わす真榊は、灯篭の内側に対で配置します。
・鳥居（とりい）
鳥居は、神様のいる聖域と人間世界との境界を示すものです。お社の前に置くことで邪気を払います。
・しめ縄
しめ縄は、そこが神聖な領域であることを示すものです。神棚の上部、雲板などに取り付けます。
・神前幕（しんぜんまく）
神前幕は神棚の前面に飾る神具ですが、天井から吊るしたり棚板に取付けたりするほか、お社に直接貼り付けたりする場合もあります。
・御簾（みす）
御簾は「お社の扉を開けてもお神札が目に触れません」という謙遜の気持ちを表すための神具で、お神札の部屋に取り付けます。

神具の種類が多く、揃えるのが大変と感じる方もいるかもしれませんが、一般的に揃える神具は、水玉・皿・榊立て・瓶子・神鏡で十分です。それよりも丁寧にお供えしたい場合は、八足台や三宝（三方）の上に神具を乗せ、さらに丁寧にお祀りしたい場合は、真榊・灯篭なども設置するとよいでしょう。